お久しぶりです。すでに一部の方にはご報告はしましたが、4月からソフトウェアエンジニアとして働いています。 学部時代にはかねてより興味のあった∞-圏の理論(モデル圏のhammock localizationから擬圏を得る構成や(∞,n)-圏のSegal的アプローチ)や小腸上皮のPEPT1を介したジ・トリペプチド吸収機構といった各分野の先端に触れることができ、最終的にはSWEとなりましたが、一つの対象をとことん掘り下げて本質に迫る中で得られた思考様式は一生の財産だと思っています。
会社探し
少しマクロな話をすると、日本においてはエンジニアといっても自社プロダクトの課題設定から携わる働き方と上流が定義した仕様を実装する働き方があります。目的が不確実な、曖昧な状態から関われる方がインパクトを出しやすく、エンジニアとしての市場価値も高まるはずだと考えていたので、自社プロダクトを持ち、課題設定からエンジニアが関われるという条件で会社を選びました。 代わりに、今経験が浅い状態で絞りすぎてしまうとかえって可能性を狭めてしまいそうなので、それ以上は業界や事業ドメインを限定せず、広く見て回ることにしました。
所感
ありがたいことに色々な経験をさせてもらっており、新卒半年の身でも、広い範囲での改善を提案することができています。制約理論的にいえばボトルネックの改善であり、その中には要件の整理や設計の見直し、コードレベルの設計、チームの開発プロセスの改善など色々な工程や粒度の議論があります。少し広がったところにはPLGやSLGといったグロースモデルの選択のようなプロダクト戦略レベルの話、その中にも当然どこに解くべき課題を置くかという切り口の議論があり、とても刺激的です。
この感覚は学部時代の研究にも近く、一例としてPEPT1の輸送効率を調べたいという場合は、測定可能な問いに落とし込むところが研究の本体になるわけです。効率とひとくくりに言っても、基質にどれだけ強く結合するかというKmの話と、輸送体が飽和したときにどれだけ運べるかというVmaxの話は互いに独立した別個の概念なので、どちらを問うているのかを先に決めることが必要になります。しかもジペプチドは細胞内や膜表面のペプチダーゼで分解されるため、培地から消えた基質の量をそのまま輸送量と見なすこともできません。
仕事でもまったく同じで、ユーザーが困っているらしいという観察から何を解くべきかを定式化するところに一番頭を使います。結局のところ、どの工程・どの粒度であっても価値を決めているのは、解く技術そのものではなく問題空間をどう切り取るかという一段抽象的な営みであり、その原理があらゆる階層で貫かれているのだと日々実感しています。
これからも精進していきたいと思います。定期的に先生方にもご挨拶に伺えればと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。